コスタリカの地形と気候
北海道の6割程度の地表面積を有する中米の小国コスタリカに、地球上で確認されている全生物種のおよそ5%にあたる95,000種が確認されています。この驚異的な多様性の鍵となるのが、地理的な位置もさることながら起伏に富んだ地形とそれによって生ずる気候の影響です。 カリブ海側と太平洋側のちょうど真ん中に、北西から南東に向って背骨のように連なる4つの山脈があり、この山脈にカリブ海の蒸気をたっぷり含んだ貿易風が北東から垂直に向って吹き抜けます。貿易風は、カリブサイドの山の障壁にぶつかり雨や霧を発生させ、乾いた空気となって太平洋側に吹き抜けます。また、北東からの貿易風が弱まると今度は太平洋の蒸気を含んだ南西からの風の影響を受ける等、山脈を境としてカリブ海側と太平洋側では異なった気象条件となり、地域によって湿度、気温、降水量の年間平均も変化することから、コスタリカには多様な気候が存在しています。その代表的な地域として以下の6つのエリアが挙げられます。


小さな国土に多様なライフゾーン

北緯8~11度の熱帯に属するコスタリカには、独特の地形と気候により非常に多様な植生が存在します。
よく耳にする植生区分として熱帯多雨林、熱帯雲霧林、熱帯乾燥林、熱帯常緑樹林、熱帯落葉樹林、熱帯サバンナ、パラモなど、53もの植生区分があります。
この植生区分は1986年にコスタリカ大学のエレーラ博士とゴメス博士により行われました。
その他に現在、最も使われている植物区分は、アメリカ合衆国出身の植物学者・気象学者であったホールドリッジ博士(1907-1999)の説いたライフゾーンです。
ホールドリッジ博士は、湿度、降水量、気温などの環境要素をベースとしてコスタリカを12のライフゾーンと12のトランジション帯(中間林)に分けました。
カラフルなマップは、ホールドリッジ博士が区分した12のライフゾーンを色分けして示したものです。
51,100平方キロという北海道の6割程度の国土に、乾燥地帯に植生するサバンナからアンデス山脈に植生する高山植物まで実に多様な植生が存在し、そこに生息する野生動物も多種多様です。
このように、小さな国土面積においてこれほど多様な植生をもつ国は世界でも稀有であることも、生物多様性の宝庫である理由と言えます。
コスタリカの保護区カテゴリー
環境保護の先進国として世界から 認知されているコスタリカは、 国土の26%が保護されており、 国家保全地域システム(SINAC)という機関が、 11に分かれたそれぞれの管轄区域にある いくつもの国立公園や野生生物保護区を 管理運営しています。 保護区といっても様々あり、 国際自然保護連合(IUCN)が定めるカテゴリー によって、コスタリカの保護区も以下のように カテゴリー分別されています: 国立公園:33 バイオロジカル・リザーブ:8 森林保護区:9 保全地区:31 野生生物保護区:75 湿地帯:14 自然記念物:1 海洋保護区:2 海洋管理地域:2 これらは、政府機関であるSINACが管理運営する 保護区ですが、モンテベルデ自然保護区は、 熱帯科学センター(CCT)が管理運営している プライベートの保護区であるため 上記のリストには入りません。 モンテベルデ自然保護区のようにプライベート機関が 管理運営している保護区もコスタリカ国内には数多くあるため、 これらの保護区を入れると26%とはかけ離れた 大きな数値が保護区域として出てくるかもしれません。 いずれにせよ、官民が一体となって環境保全、 そして持続可能な開発のために働いている国。 是非、コスタリカへ来て頂き、皆様の目で どのような国なのかを確かめに来てください。

